本当は、呼び方なんてなんでもいい。
「はずかしいけど、なんだか嬉しい」
そう言って笑うキミの笑顔がみたいだけ。
僕を満月にするキミに
ベッドルームには月明かりが差し込んで、汗でしっとりと濡れたつくしの肌をゆるやかに照らし出していた。
灯りを消したばかりの時は曖昧にしか見えなかった視界も、時間の経過と共にくっきりと浮かび上がり、今はもう、吐息を漏らすつくしの唇の小さな動きさえもはっきり見える。
縋るようにシーツを掴むその手にそっと触れると、俺の与える緩やかな律動に切なげに閉じていた瞳を、ゆっくり開けた。
「つくし。――呼んで」
「え……な、に?」
「呼んで。名前。俺はもう、クレセントムーンじゃないんだ」
「……」
「さっきみたいに、呼んで。――つくし。」
頬を染めたつくしの瞳は、右へ左へと小さく揺れた。
もうすぐ、俺を呼ぶ彼女の声が月明かりに照らし出される。――きっと、もうすぐ。