紫陽花は、土の成分でその色を変えるという。
ならば人は、注がれる愛でその輝きを変えるのかもしれない。
誰よりも輝けるのは、あなたがいるから。あなたの愛が深いから。
愛を注がれ咲き誇る
ベランダから見た夜空には、ぽつりぽつりと星が瞬いていた。
「梅雨でも星って出るんだね。雨の日しかない気がしてた」
「あのね、類……そんなわけないでしょ? テレビの天気予報で、明日は久しぶりに洗濯日和ですよー、とか言ってる時あるでしょう?」
「天気予報見ないからわかんない」
「そうですか」
隣で呆れたように溜め息を吐く牧野は、天気予報には敏感なのに、自分への想いには鈍感で、恋愛にはちょっと臆病。
だから俺が教えてあげるよ。キミの笑顔が好きだから。
「恋愛は自由。結婚は不自由。ジュニアに生まれた宿命ってやつか」
「え?」
「その後、あきらはなんて言ったと思う?」
「なんて言ったの?」
「俺は結婚も自由にする。あいつと幸せになるのが、俺の宿命だから」
顔を真っ赤にして固まるキミを見て改めて思う。
( 牧野が幸せになるのは、俺の願いだよ。 )