結論も真実も疾うにそこにあるのに、なかなか出ないあと半歩。
ぽんと肩を押してくれたのは、雪をも溶かす優しさを持った親友だった。
この半歩を踏み出した、その先の道。
キミは一緒に歩んでくれるだろうか。
西門さんの真剣な恋愛は、背中を押してくれるたくさんの優しさに支えられて動き出すのです。
布団から出ていた腕がひんやりとする感覚に、目が覚めた。
それはここ数週間では感じることのなかった真冬のような寒さで、一瞬、空調の故障かと思ったが、すぐにそうではない理由に思い当り、そっと布団を抜け出した。
床からシャツを拾い上げて羽織りながら、窓に向かって歩く。
この、近づくほどにじわじわと忍び寄る独特の空気感には覚えがある。
廻る季節を数えながら、この瞬間をずっとずっと待っていた。
シャラリと音をさせてブラインドを開ける。
広がる景色に、自然と笑みが広がった。
「……そう、じろう?」
俺を呼ぶ掠れた声に振り向くと、まだ眠そうに目元を擦るつくしの姿があった。
なんだか寒い、とシーツを手繰り寄せながら、素肌にシャツを羽織っただけの俺を見て、眉間に小さな皺を寄せた。
「寒くないの?」
「寒い」
「きちんと着たら? 風邪引いてる暇なんて――」
「なあつくし。あの約束覚えてるか?」
「あの約束?」
コクリと頷き外を指差す俺に、じわじわと、つくしは嬉しそうに笑みを広げた。
「やっと見れるんだね。雪化粧の梅の木」