クリスマスだから傍に居てほしい。
そんな我儘を絶対に言わないキミだってわかってた。たとえ思っていたとしても。
ならば俺が言おうか。
キミとクリスマスを過ごしたい。クリスマスだから、キミの傍に居たいんだ。
クリスマスって、正式には二十五日なのに、メインはイヴな気がしています。恋人たちが約束をするのもイヴのほうが多いのではないでしょうか。
でも、社会人になると、なかなかうまくはいきませんよね。
クリスマス休暇なんて洒落た制度、あればすごく嬉しいけど、あっても思い通りに使えなかったらもっともっと切なくなったりしますね。
――それでも二人に温かな時間が降り注ぎますように。
そんな願いを込めて。
クリスマスイブもクリスマスも通り越した、十二月二十六日午前二時。
パーティーのお開きと同時に美作さんに手を取られたあたしは、連れて来られた美作さんの部屋で、その扉が閉まると同時に抱きしめられていた。
深く深く抱きしめられた腕の中は、甘くて柔らかな美作さんの香りがした。
「……」
「……」
美作さんは何も言わない。
だからあたしも、何も言わない。
今、あたしたちに必要なのは、言葉じゃなくて温もりだってわかるから。
――メリークリスマス。二人きりの時間(とき)が来たね。