眩しい光に閉じていた目を開けると、隣の牧野が同じように目を閉じていた。
全身に陽の光を浴びるその姿はあまりにも無防備で、あまりにも輝いてきて、腕の中に閉じ込めたいと思った。
誰にも見せたくない、誰にも渡したくない。
それは、確実に胸を巣食う独占欲だった。
(何考えてるんだか、俺は)
距離を大事にしたいと言ったのは俺だ。大切に育んでゆっくり重ねた想いだから、何よりも大事にしていきたい。突然駆け出したり飛び越えたりせずに。
――その想いに嘘はない。
でも。
(もっと近づかないと、足りないんだよな)
二人の関係が確かなものだと実感したくてたまらない俺がいる。
想いを重ねたからこそ確かめられる確かなもので。
「そのまま」
ぴくりと震えた牧野の睫毛に、僅かに掠れた声でそう告げたのは、ほぼ無意識だったかもしれない。
でも、そうせずにはいられなかったんだ。
牧野が愛しくて。
牧野を、感じたくて。
長い長いキスの後、唇を離してそっと顔を覗き見れば、焦点の合わない瞳がゆらゆらと熱を帯びて俺を見ていた。
愛しくて愛しくて、たまらなかった。
牧野。
ずっと二人で歩いて行こう。一歩ずつ。ゆっくりと。
ずっと。ずっと想いをひとつにして。